木造僧形八幡神坐像、木造神功皇后坐像及び木造仲津姫命坐像 [奈良国立博物館 / 薬師寺・奈良県]

国宝 平安時代 神像 八幡三神 木造 奈良県

奈良国立博物館 / 薬師寺 木造僧形八幡神坐像、木造神功皇后坐像及び木造仲津姫命坐像

奈良国立博物館に寄託される国宝。平安時代(9世紀)に制作された八幡三神像であり、僧形八幡神坐像・神功皇后坐像・仲津姫命坐像から構成される。現存最古級の八幡神像として知られ、日本における神像彫刻と神仏習合思想を語るうえで欠かせない傑作である。

概要

本作は薬師寺鎮守・休ヶ岡八幡宮の御神体として伝来した八幡三神像である。 中央に僧形八幡神、向かって右に神功皇后、向かって左に仲津姫命を配する構成をとる。いずれも一木造による彩色神像であり、我が国最古級の神像彫刻として高く評価されている。

神仏習合の進展によって成立した八幡信仰を具体的な造形で伝える作品群であり、日本宗教史においても極めて重要な文化財である。

基本情報

正式名称 木造〈僧形八幡神/神功皇后/仲津姫命〉坐像
所有者 薬師寺
寄託先 奈良国立博物館
所在地 奈良県奈良市登大路町50(奈良国立博物館)
時代 平安時代(9世紀)
文化財指定 国宝
国宝指定日 1951年6月9日
分類 神像
材質 木造・一木造・彩色・彫眼
員数 3躯
構成 僧形八幡神坐像 1躯
神功皇后坐像 1躯
仲津姫命坐像 1躯
信仰形態 八幡三神

史料的背景

本作は八幡三神を表した神像群である。八幡三神とは八幡神(応神天皇)、神功皇后、仲津姫命の三柱から構成され、日本各地の八幡宮で祀られている。 奈良時代になると八幡神は仏教と深く結び付くようになった。東大寺大仏造立を助けた神とされたことで「八幡大菩薩」として信仰され、神でありながら僧侶の姿で表現されるようになった。 この神仏習合思想によって成立したのが僧形八幡神像であり、本像群はその最古級の作例として知られている。

薬師寺の鎮守社である休ヶ岡八幡宮の神像として伝来し、現在は奈良国立博物館に寄託されている。

歴史

休ヶ岡八幡宮は、薬師寺別当栄紹によって宇佐八幡宮から勧請されたと伝えられている。 本像群はその神像として制作されたもので、平安時代の八幡信仰を代表する作品として現在まで伝来した。 明治以降も大切に保存され、現在は奈良国立博物館に寄託されている。

各神像の解説

木造僧形八幡神坐像

八幡神を僧侶の姿で表した神像である。 八幡神は応神天皇と習合され、日本中世を通じて国家守護・武神・仏法守護神として信仰された。

神仏習合思想の成立によって「八幡大菩薩」と理解されるようになり、本像では袈裟をまとった僧形で表現されている。

木造神功皇后坐像

神功皇后を表した神像である。 応神天皇の母として八幡信仰において重要な位置を占める。

奈良時代以来の貴人像を思わせる装束と気品ある表情が特徴である。

像高33.9cm。

木造仲津姫命坐像

仲津姫命を表した神像である。 応神天皇の后とされ、八幡神・神功皇后とともに八幡三神として信仰された。

穏やかで静かな表情には女性神像特有の気品が表されている。

各神像の見分け方

僧形八幡神

中央に安置される主神である。 袈裟をまとった僧侶姿で表現されており、最も識別しやすい。

神功皇后

向かって右側の女性神像。 気品ある女性貴族の姿で表現されている。

仲津姫命

向かって左側の女性神像。 神功皇后像に近い姿だが、八幡神の后として表されている。

評価

本像群は現存最古級の八幡神像として高く評価されている。

神像彫刻史のみならず、日本の神仏習合思想を具体的な造形によって伝える点でも極めて重要な作品である。 一木造による安定感ある造形は平安初期神像彫刻の代表例とされている。

なぜ国宝に指定されたのか

平安時代神像彫刻の代表作であり、日本最古級の八幡神像群として高い歴史的価値を有するためである。 また、神仏習合という日本独自の宗教文化を示す第一級資料として極めて重要であることから国宝に指定されている。

見どころ

現存最古級の八幡神像

日本に残る八幡神像の中でも最古級に位置付けられる。

神仏習合の象徴

僧侶の姿をした八幡神は神仏習合思想を象徴する。

八幡三神がそろう国宝

八幡神・神功皇后・仲津姫命が一体で伝来している。

平安初期の神像彫刻

9世紀神像彫刻の優れた作例として知られる。

薬師寺の鎮守神

休ヶ岡八幡宮の御神体として信仰されてきた。

奈良国立博物館で公開

寄託先の奈良国立博物館で展示される機会がある。

鑑賞ポイント

  1. まず中央の僧形八幡神を見る。
  2. 袈裟をまとった神像という特異な表現に注目する。
  3. 神功皇后と仲津姫命の装束を比較する。
  4. 三神の配置関係を確認する。
  5. 神仏習合の思想を意識して鑑賞する。
  6. 平安初期神像彫刻の魅力を味わう。

国宝指定されている神像(全6件)

公開情報

所有者 薬師寺
寄託先 奈良国立博物館
所在地 奈良県奈良市登大路町50
公開場所 奈良国立博物館(展示状況による)
公式サイト 奈良国立博物館公式サイト
ひとこと
僧侶の姿となった八幡神を中心に三神がそろう本像群は、日本独自の神仏習合思想をもっともよく伝える国宝神像の一つである。仏教と神道が共存した中世日本の精神文化を象徴する名品といえる。
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