木造薬師如来立像、木造伝衆宝王菩薩立像、木造伝獅子吼菩薩立像、木造伝大自在王菩薩立像及び木造二天王立像 [唐招提寺・奈良県]

国宝 奈良時代 如来 薬師如来 木造 奈良県

唐招提寺 木造薬師如来立像、木造伝衆宝王菩薩立像、木造伝獅子吼菩薩立像、木造伝大自在王菩薩立像及び木造二天王立像

奈良市の唐招提寺に伝わる国宝。薬師如来立像を中心に、伝衆宝王菩薩立像・伝獅子吼菩薩立像・伝大自在王菩薩立像および二天王立像によって構成される奈良時代の尊像群である。唐招提寺創建期に近い時代の木彫群として極めて貴重であり、2019年に国宝へ指定された。

概要

本作は薬師如来立像を中心として、三菩薩像と二天王像によって構成される薬師信仰の尊像群である。

もとは唐招提寺講堂に安置されていたため「旧講堂木彫群」とも呼ばれる。奈良時代木彫の優品であり、日本木彫史の原点を示す重要な作品群として高く評価されている。

基本情報

正式名称 木造薬師如来立像、木造伝衆宝王菩薩立像、木造伝獅子吼菩薩立像、木造伝大自在王菩薩立像及び木造二天王立像
寺院名 唐招提寺
所在地 奈良県奈良市五条町13-46
時代 奈良時代(8世紀)
文化財指定 国宝
国宝指定日 2019年7月23日
種別 彫刻
員数 6躯
所有者 唐招提寺
旧安置場所 講堂
現在の安置場所 新宝蔵・講堂

歴史

唐招提寺は唐僧鑑真和上によって創建された律宗総本山である。本尊像群は寺院創建期に近い奈良時代に制作されたと考えられている。

唐風様式の影響が強く、鑑真に随行した工人たち、あるいはその流れをくむ工房の関与が想定されている。

長く講堂に安置されていたが、文化財保護の観点から現在は新宝蔵などで管理・公開されている。

評価

本像群は奈良時代木彫を代表する作品群として高く評価されている。

薬師如来を中心に、三菩薩と二天王がまとまって伝来した点は極めて貴重であり、奈良時代の薬師信仰空間を具体的に伝える文化財として重要な価値を持つ。

また、日本木彫成立期の造形を現在まで伝える点でも、日本仏教美術史において特別な位置を占めている。

なぜ国宝に指定されたのか

奈良時代木彫の優れた作例であり、造形・歴史・信仰の各面において極めて高い価値を有するためである。

さらに薬師如来を中心とする群像構成が一括して残されていること、日本木彫史の原点を示す作品群であることが評価され、2019年に国宝指定を受けた。

構成尊像

本作は薬師如来立像を中心として、伝衆宝王菩薩立像、伝獅子吼菩薩立像、伝大自在王菩薩立像および二天王立像から構成される。

薬師如来が中心となり、三菩薩が功徳を補佐し、二天王が浄域を守護する構成となっている。

各尊像の解説

薬師如来立像

本尊となる中尊である。

病苦を救済する薬師如来として表される。

像高163.7cm。

伝衆宝王菩薩立像

薬師如来の脇侍菩薩として伝わる。

額中央に第三眼を持ち、六臂像の痕跡が残る。

像高約173cm。

伝獅子吼菩薩立像

薬師如来の脇侍として伝わる尊像である。

第三眼を持ち、不空羂索観音系統との関連も指摘される。

像高170.8cm。

伝大自在王菩薩立像

薬師如来を補佐する菩薩像である。

三菩薩の中でも比較的すっきりした体型を持つ。

像高170.8cm。

持国天立像

二天王の一尊。

仏法を守護する護法神として表される。

像高131.0cm。

増長天立像

二天王の一尊。

甲冑姿で邪鬼を踏みつける勇壮な姿を示す。

像高130.2cm。

各尊像の見分け方

薬師如来

中央に立つ主尊。

宝冠を付けず、最も落ち着いた表現を持つ。

衆宝王菩薩

額中央の第三眼が特徴。

六臂像の痕跡が残る。

獅子吼菩薩

第三眼を持つ。

力感のある表現が特徴的。

大自在王菩薩

比較的すっきりした体型。

気品ある落ち着いた造形を示す。

二天王

甲冑を着用した武神。

邪鬼を踏むため最も判別しやすい。

見どころ

2019年国宝指定

長年重要文化財であったが、2019年に国宝へ指定された。

奈良時代木彫の原点

日本木彫成立期の姿を今に伝える重要な作品群である。

薬師信仰空間の再現

薬師如来を中心とした群像構成がそのまま残されている。

第三眼を持つ菩薩

衆宝王菩薩と獅子吼菩薩には第三眼が表現されている。

唐風様式

鑑真や唐文化の影響を感じさせる造形が見られる。

二天王の迫力

武神としての力強い造形が信仰空間を引き締めている。

鑑賞ポイント

  1. 中央の薬師如来立像を見る。
  2. 三菩薩の違いを比較する。
  3. 衆宝王菩薩の六臂痕跡に注目する。
  4. 獅子吼菩薩の第三眼を見る。
  5. 大自在王菩薩の気品ある造形を観察する。
  6. 二天王の甲冑や邪鬼表現を楽しむ。
  7. 群像全体が作る薬師信仰空間を体感する。

拝観情報

寺院名 唐招提寺
所在地 奈良県奈良市五条町13-46
主な公開場所 新宝蔵・講堂
公式サイト 唐招提寺公式サイト
ひとこと
この国宝群の魅力は薬師如来一体ではなく、三菩薩と二天王を含む薬師信仰の世界全体が残されている点にある。奈良時代木彫の成立を伝える貴重な尊像群として、日本仏教美術史の中で特別な存在となっている。
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