獅子窟寺 木造薬師如来坐像(本堂安置)
大阪府交野市の獅子窟寺に伝わる国宝。本堂の本尊として安置される平安時代前期の薬師如来坐像であり、九世紀の一木彫成技法の完成を示す傑作として高く評価されている。重厚な体躯と流麗な衣文表現には、平安初期彫刻の力強さと洗練された技術が見事に表れている。
概要
木造薬師如来坐像は、大阪府交野市の獅子窟寺本堂に安置される国宝の本尊である。
頭躰部や両肩から袖口、右臂に至るまでをカヤの一材から彫り出した一木造の名品であり、九世紀の一木彫成技法の完成を示す代表作として高く評価されている。
基本情報
| 正式名称 | 木造薬師如来坐像(本堂安置) |
|---|---|
| 寺院名 | 獅子窟寺 |
| 所在地 | 大阪府交野市私市2387 |
| 時代 | 平安時代前期(9世紀末~10世紀初頭) |
| 文化財指定 | 国宝 |
| 国宝指定日 | 1968年4月12日 |
| 大分類 | 如来 |
| 詳細分類 | 薬師如来 |
| 材質 | 木造(カヤ材・一木造) |
| 像容 | 坐像 |
| 員数 | 1躯 |
| 安置場所 | 本堂 |
薬師如来とは
薬師如来は東方浄瑠璃世界の教主であり、人々の病気や苦しみを救済する仏として信仰される。
日本では奈良時代から平安時代にかけて薬師信仰が広く普及し、多くの薬師如来像が造立された。獅子窟寺の本像もその代表例の一つである。
歴史
獅子窟寺の本尊である本像は、平安時代前期に制作された薬師如来坐像である。
頭躰部から両肩、右腕にいたるまでをカヤの一材から彫り出し、膝前部に横材を矧ぐ構造を持つ。螺髪は一粒ずつ乾漆で製作され植え付けられている。
9世紀末から10世紀初頭頃の制作と考えられ、平安初期木彫の完成期を示す重要作品として現在まで伝えられてきた。
評価
本像は平安初期木彫の代表作として高い評価を受けている。
豊かな面相表現、大ぶりな眼鼻立ち、切れ長でうねるような両眼、流動的な衣文などに秀抜な彫技が認められる。
文化庁は本像を「九世紀の一木彫成技法の完成を示す一典型」と評価している。
なぜ国宝に指定されたのか
平安初期木彫の典型例であり、日本彫刻史上極めて重要な位置を占めるためである。
構造技法、造形表現、保存状態のいずれも優れており、薬師如来信仰と平安彫刻史を伝える貴重な文化遺産として国宝に指定されている。
見どころ
九世紀木彫の完成形
一木彫成技法の完成を示す代表作として知られる。
カヤ材の一木造
頭躰部から両肩、右腕にいたるまでを一材から彫り出している。
切れ長の眼差し
うねるような両眼は本像最大の特徴の一つである。
豊かな面相
やや面長ながら量感豊かな顔立ちが印象的である。
流動的な衣文
衣のひだが体躯を巡るように流れ、高度な刀技を見ることができる。
胸前の卍字
胸前には朱で卍字が描かれ、古式の薬師如来像の特徴を伝えている。
古式薬師像の姿
本来は智吉祥印を結ぶ薬師如来像だった可能性が指摘されている。
重厚な体躯
厚みのある両膝と引き締まった腹部に安定感のある造形美が表れている。
大阪を代表する国宝仏
大阪府を代表する平安仏の名品として広く知られている。
鑑賞ポイント
- 切れ長でうねるような眼差しを見る。
- 豊かな面相表現を観察する。
- 胸前の卍字に注目する。
- 流麗な衣文の彫刻技術を味わう。
- 重厚な体躯と均整のとれた姿勢を見る。
- 平安初期木彫の完成度を体感する。
国宝指定されている薬師如来(全14件)
拝観情報
| 寺院名 | 獅子窟寺 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府交野市私市2387 |
| 公開場所 | 本堂 |
| 公式サイト | 獅子窟寺紹介ページ |
