仁和寺 木造薬師如来坐像(円勢、長円作・北院旧本尊)
京都市右京区の仁和寺に伝わる国宝。康和5年(1103)に仏師円勢・長円によって制作された薬師如来坐像である。白河天皇皇子の覚行法親王が北院の本尊として造立したことが知られ、作者・制作年・由来が明確な平安後期彫刻の重要作例として高く評価されている。
概要
木造薬師如来坐像は、仁和寺に伝わる国宝の薬師如来像である。
仏師法印円勢と長円が康和5年(1103)4月1日から5月4日まで制作したことが知られており、平安時代後期の檀像彫刻を代表する名品として評価されている。
基本情報
| 正式名称 | 木造薬師如来坐像(円勢、長円作・北院旧本尊) |
|---|---|
| 寺院名 | 仁和寺 |
| 所在地 | 京都府京都市右京区御室大内33 |
| 時代 | 平安時代後期 |
| 制作年 | 1103年(康和5年) |
| 作者 | 円勢・長円 |
| 文化財指定 | 国宝 |
| 国宝指定日 | 1990年6月29日 |
| 大分類 | 如来 |
| 詳細分類 | 薬師如来 |
| 材質 | 白檀材 |
| 像容 | 坐像 |
| 員数 | 1躯 |
| 旧安置場所 | 北院 |
| 発願者 | 覚行法親王 |
薬師如来とは
薬師如来は東方浄瑠璃世界の教主であり、人々の病や苦しみを救う仏として広く信仰されている。
本像は左手に薬壺を載せ、右手を施無畏印とする正統的な薬師如来像であり、平安時代の薬師信仰を伝える重要な作例である。
歴史
本像は白河天皇の皇子である覚行法親王が、自坊である北院の本尊として造立した薬師如来像である。
仏師法印円勢と長円が日参して制作したことが記録に残されており、制作年代と作者が明確に判明する貴重な作品である。
円勢・長円は当時の都を代表する円派仏師であったが、現存作は極めて少なく、本像はその作風を伝える事実上唯一の重要遺品として知られている。
評価
本像は平安後期檀像彫刻の典型として極めて高く評価されている。
作者・年代・発願者が明確であり、さらに光背や台座まで良好な状態で残ることから、日本彫刻史上の重要作品に位置付けられている。
また、本物の白檀材を用いて制作された日本でも希少な檀像として知られている。
なぜ国宝に指定されたのか
平安後期の檀像彫刻を代表する傑作であり、作者・制作事情・伝来が明確なため学術的価値が極めて高い。
加えて、光背や台座を含めた保存状態がきわめて良好であり、日本仏教美術史を語るうえで欠かせない作品として国宝に指定された。
見どころ
円勢・長円の代表作
史料に名を残す名仏師父子の作風を伝える重要な遺品である。
白檀材の檀像
日本では希少な白檀材を用いた本格的な檀像である。
薬壺を持つ薬師如来
左手に薬壺を載せる典型的な薬師如来像として造られている。
施無畏印
右手は施無畏印を結び、人々を安心へ導く姿を表している。
七仏薬師
光背の円相には七躯の薬師如来が表されている。
日光・月光菩薩
後屏には脇侍として日光菩薩・月光菩薩が表されている。
十二神将
台座には十二神将が精巧に彫刻されている。
截金文様
衣には七宝繋文や花唐草文などの繊細な截金装飾が施されている。
保存状態の良さ
光背・台座を含めた完存性の高さは大きな見どころである。
鑑賞ポイント
- まず小像ながら精緻な全体構成を観察する。
- 左手の薬壺と右手の施無畏印を確認する。
- 光背の七仏薬師に注目する。
- 日光・月光菩薩の表現を見る。
- 台座の十二神将を一体ずつ観察する。
- 衣に施された截金文様の細密さを味わう。
国宝指定されている薬師如来(全14件)
拝観情報
| 寺院名 | 仁和寺 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市右京区御室大内33 |
| 現在の安置場所 | 霊明殿 |
| 公開状況 | 原則非公開(特別公開時を除く) |
| 公式サイト | 仁和寺公式サイト |
