奈良国立博物館 木造薬師如来坐像
奈良国立博物館が所蔵する国宝。平安時代前期(9世紀)に制作された木造薬師如来坐像であり、同館を代表する仏像彫刻の一つとして知られる。もとは京都東山の若王子社に伝来した像とされ、重厚な量感と鋭い衣文表現によって平安初期彫刻の特色を今に伝えている。
概要
木造薬師如来坐像は、奈良国立博物館が所蔵する国宝仏である。平安時代初期を代表する木彫仏として高く評価されている。
両手首先や螺髪を除く本体の大部分と台座蓮肉部までを一材から彫り出した一木造で、重厚な体躯と鋭い彫刻刀の表現に平安初期木彫の特徴が顕著に示されている。
基本情報
| 正式名称 | 木造薬師如来坐像 |
|---|---|
| 所蔵者 | 独立行政法人国立文化財機構 |
| 保管施設 | 奈良国立博物館 |
| 所在地 | 奈良県奈良市登大路町50 |
| 時代 | 平安時代(9世紀) |
| 文化財指定 | 国宝 |
| 国宝指定日 | 1953年3月31日 |
| 大分類 | 如来 |
| 詳細分類 | 薬師如来 |
| 材質 | 木造(一木造) |
| 像容 | 坐像 |
| 員数 | 1躯 |
| 像高 | 49.7cm |
| 旧伝来 | 京都・若王子社 |
薬師如来とは
薬師如来は東方浄瑠璃世界の教主であり、人々の病苦を除き健康や長寿をもたらす仏として広く信仰されている。
奈良時代から平安時代にかけて薬師信仰は全国へ広まり、多くの薬師如来像が造立された。本像はその中でも平安前期木彫を代表する名品として知られている。
歴史
本像は京都東山の若王子社に伝来したとされる薬師如来像である。しかし若王子社の創建は12世紀と考えられており、本像の制作年代である9世紀とは大きな隔たりがあるため、当初の安置場所は現在も不明である。
明治初年の神仏分離によって社から離れ、その後複数の所蔵者を経て国有となった。現在は奈良国立博物館に収蔵されている。
奈良国立博物館を代表する国宝仏として保存・公開されている。
評価
本像は平安初期木彫の傑作として高く評価されている。
抑揚に富んだ顔立ち、鋭く刻まれた翻波式衣文、独特の異国的な容貌などに平安初期彫刻の特色が明瞭に表れている。
作風には東寺講堂諸像との共通点も指摘されており、9世紀半ば頃の有力工房による制作と考えられている。
なぜ国宝に指定されたのか
平安初期木彫を代表する優れた薬師如来像であり、日本彫刻史上極めて高い価値を有しているためである。
また、一木造の構造や平安初期彫刻の特色を良好に伝える重要な遺例であり、仏教美術研究に欠かせない作品として国宝に指定されている。
見どころ
奈良博屈指の名品
奈良国立博物館が所蔵する仏像彫刻の白眉と評価される代表作である。
像高49.7cmの凝縮美
小像ながら圧倒的な存在感を持ち、大像にも劣らぬ迫力を示している。
一木造の技法
本体と蓮肉部までを一材から彫り出しており、平安初期木彫の特徴をよく示している。
重厚な量感
奥行きのある体躯表現には平安初期仏像ならではの力強さが現れている。
異国的な表情
大きな眼と豊かな瞼表現にはインド仏を思わせる独特の雰囲気がある。
翻波式衣文
鋭く深い衣文表現は平安前期彫刻特有の力強さを示している。
檀色像の名残
黄土による彩色が残り、白檀を模した「檀色像」の可能性が指摘されている。
若王子社伝来
神仏習合の歴史を今に伝える貴重な伝来背景を持つ。
東寺工房との関連
東寺講堂諸像との近い作風から、同時期同工房説も語られている。
鑑賞ポイント
- まず全体の重厚な量感を観察する。
- 大きな眼と異国的な顔立ちに注目する。
- 鋭く刻まれた翻波式衣文を見る。
- 膝が蓮肉から張り出す独特の表現を確認する。
- 一木造による構造美を味わう。
- 平安初期彫刻の力強さを体感する。
国宝指定されている薬師如来(全14件)
公開情報
| 所蔵館 | 奈良国立博物館 |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県奈良市登大路町50 |
| 公開場所 | 奈良国立博物館 なら仏像館(展示状況による) |
| 所蔵者 | 独立行政法人国立文化財機構 |
| 公式サイト | 奈良国立博物館公式サイト |
