大善寺は山梨県甲州市勝沼町にある真言宗智山派の古刹で、柏尾山の中腹に位置することから「柏尾山大善寺」と呼ばれる。古くから「ぶどう寺」の愛称で親しまれ、甲州ぶどう発祥伝説を今に伝える寺院としても知られている。
寺伝によれば、奈良時代の718年に行基が開いたとされる。修行中の行基の前に薬師如来が現れ、その右手に葡萄を持っていたことから薬師像を刻み、村人へ葡萄栽培を教えたのが始まりという。真偽はともかく、この伝承が今も勝沼の葡萄文化と深く結び付いており、境内ではワインが頒布されるなど、他の寺院にはない独特の魅力を生み出している。
大善寺最大の見どころは国宝の本堂(薬師堂)である。鎌倉時代後期の1286年に再建された建物で、関東地方に残る最古級の木造建築として高く評価されている。大きく張り出した檜皮葺の屋根は堂々としており、山寺らしい落ち着いた風格を漂わせる。内部は密教寺院特有の複雑な空間構成を持ち、鎌倉建築の力強さと洗練が同居している。
本堂内には重要文化財の薬師如来および両脇侍像が安置されている。平安時代前期にさかのぼる古像で、特に左手に葡萄を持つ薬師如来は全国的にも極めて珍しい存在である。五年に一度の御開帳では、この「ぶどう薬師」を間近に拝観することができる。
境内からは甲府盆地と勝沼の葡萄畑が広がり、季節によってまったく異なる表情を見せる。春には桃の花、夏には青々とした葡萄棚、秋には実りと紅葉が彩りを添える。国宝建築を擁しながらも観光地化され過ぎておらず、静かな時間の中で歴史と土地の文化を味わえるのが大善寺の魅力である。
山梨には多くの寺社があるが、「国宝建築」「平安仏」「甲州ぶどう発祥伝説」が一つの場所に重なっている寺は他にない。大善寺は、信仰の歴史だけでなく、山梨という土地そのものの歴史を体験できる寺院なのである。


文化財



巡礼の記録
2026年7月18日
8時55分に勝沼ぶどう郷駅に到着した。天気予報は曇りだったが、実際にはかなり強い雨が降っていた。
駅で自転車を借り、大善寺へ向かう。坂を下り、そして登る。電動自転車だったので思ったほどきつくはなかった。
9時5分に大善寺へ到着した頃には雨も小降りになっていた。
石段を上ると山門が現れる。ここは戊辰戦争の甲州勝沼の戦いに関連する場所であり、近藤勇にとって最後の戦いとなった地として知られている。
さらに石段を上ると国宝の本堂が見えてくる。横幅は大きいが、高さは思ったより低く感じる。そのためか、どっしりとした安定感のある建物に見えた。
堂内では仏像をゆっくり拝観できる。大善寺の本尊である薬師如来は、一般的な薬壺ではなくぶどうを持つことで知られている。勝沼らしい特徴を持つ仏像である。
薬師如来と脇侍の日光菩薩像、月光菩薩像は秘仏として厨子の中に安置されている。5年に一度の御開帳の際のみ一般公開され、次回は2028年と案内されていた。
今回は厨子の扉が閉ざされていたが、いつか御開帳の時期に合わせて再び訪れたいと思った。




基本情報
| 名称 | 柏尾山 大善寺(だいぜんじ) |
|---|---|
| 所在地 | 〒409-1316 山梨県甲州市勝沼町勝沼3559 |
| 宗派 | 真言宗智山派 |
| 本尊 | 薬師如来(ぶどう薬師) |
| 電話番号 | 0553-44-0027 |
| 拝観時間 |
3月~11月:9:00~16:30(受付16:00まで) 12月~2月:9:00~16:00(受付15:30まで) |
| 拝観料 |
大人 500円 小・中・高校生 300円 団体割引あり |
| 公式HP | https://www.daizenji.org/ |
| アクセス |
JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」から車で約5分 中央自動車道「勝沼IC」から車で約2分 |
| 御朱印 | あり |
