厳島神社は広島県宮島に鎮座する全国の厳島神社の総本社であり、日本を代表する神社の一つである。古代から島そのものが神聖視され、背後にそびえる弥山を神体山として崇めてきた。海と山が一体となった信仰の風景は、今も創建当時の精神性を色濃く残している。
この神社を特別な存在にしているのは、海の上に浮かんで見える社殿群である。潮が満ちると朱塗りの回廊や大鳥居が海面に映り込み、まるで神々の住む世界へ続く宮殿のような光景が現れる。一方、干潮時には大鳥居の足元まで歩いて行くことができ、まったく異なる表情を楽しめる。厳島神社ほど潮の満ち引きによって景観が劇的に変化する神社は他にない。
現在の壮麗な社殿の基礎を築いたのは平清盛である。平安時代後期、日宋貿易によって莫大な富を築いた清盛は厳島神社を深く信仰し、海上に広がる壮大な社殿群を整備した。海を庭のように取り込み、寝殿造の邸宅を思わせる優雅な配置は、武士でありながら貴族文化を体現した平清盛の美意識そのものといえる。
また、厳島神社は単なる神社ではなく、日本美の象徴でもある。本社本殿、客神社本殿をはじめとする社殿群は国宝に指定され、世界文化遺産にも登録されている。建築そのものの価値だけでなく、海、山、社殿が織りなす景観全体が高く評価されているのである。
境内には能舞台や平舞台、長い回廊など見どころが連続する。平舞台に立つと、正面に大鳥居、その背後に瀬戸内海の穏やかな海原が広がり、そこに吹く潮風が心地よい。建築を鑑賞するというよりも、神域そのものの中に身を置いている感覚になる。
海と社殿が溶け合う唯一無二の景観、平清盛が描いた壮大な構想、そして千年以上続く信仰が重なっているからこそ、多くの人を惹きつけ続けているのである。初めて訪れても、誰もが「あの大鳥居の風景は特別だ」と直感できる、日本屈指の聖地である。


文化財



巡拝記録 (2016年6月)





基本情報
| 名称 | 厳島神社(いつくしまじんじゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 〒739-0588 広島県廿日市市宮島町1-1 |
| 宗派 | 神社(神道) |
| 電話番号 | 0829-44-2020 |
| 拝観時間 | 季節により異なる(概ね 6:30~17:30頃) |
| 拝観料 | 大人 300円 / 高校生 200円 / 小・中学生 100円 |
| 公式HP | https://www.itsukushimajinja.jp/ https://www.itsukushimajinja.jp/ |
| アクセス |
JR宮島口駅・広電宮島口駅からフェリー約10分 宮島桟橋より徒歩約10分 |
| 御朱印 | あり |
