久能山東照宮本殿は、静岡市駿河区の久能山山頂に鎮座する久能山東照宮の中心社殿である。
久能山東照宮は徳川家康を祀る全国の東照宮の創始であり、家康の遺命によってその亡骸が最初に葬られた場所として知られている。日光東照宮が完成する以前、東照宮信仰の出発点となった神社である。
家康は1616年に駿府城で没し、その遺骸は久能山に埋葬された。翌1617年、二代将軍徳川秀忠の命により社殿が造営され、現在の本殿・石の間・拝殿が完成した。後に家康の神霊は日光へ遷されたが、久能山東照宮は依然として東照宮の根本的存在として崇敬を集めている。
国宝に指定されている本殿・石の間・拝殿は、権現造の完成形を示す建築として高く評価されている。日光東照宮ほどの規模はないが、むしろこちらが原型に近い存在であり、江戸初期の東照宮建築を知る上で重要な遺構である。黒漆塗りを基調に、極彩色の彫刻や金具によって装飾された姿は豪華でありながら品格を備えている。
久能山東照宮の魅力は建築だけではない。山頂に建つため、境内からは駿河湾を一望できる。海と社殿が同時に視界へ入る景観は全国の東照宮の中でも珍しく、家康がこの地を終の棲家として選んだ理由の一端を感じることができる。石段を登って参拝する方法と、日本平からロープウェイで向かう方法があるが、往時の参拝者と同じく石段を登ると、より強く聖地らしさを味わえる。
また、境内には家康の墓所である神廟が残されている。東照宮といえば日光を思い浮かべる人が多いが、家康が最初に眠った場所は久能山である。そうした歴史的背景を知った上で訪れると、単なる豪華な社殿ではなく、徳川幕府成立の原点ともいえる場所としての重みを感じることができる。
久能山東照宮本殿は、「東照宮建築の原点」「徳川家康墓所の守護社殿」「国宝建築」という三つの価値を併せ持つ存在である。日光東照宮の華やかさとは異なる、江戸初期の緊張感と気品を今に伝える貴重な建築である。



文化財
基本情報
| 名称 | 久能山東照宮(くのうざん とうしょうぐう) |
|---|---|
| 所在地 | 〒422-8011 静岡県静岡市駿河区根古屋390 |
| 宗派 | 神社(神道) |
| 主祭神 | 徳川家康公 |
| 電話番号 | 054-237-2438 |
| 参拝時間 |
9:00~17:00 (最終入場16:30) |
| 拝観料 |
社殿拝観:大人 500円・小中学生 200円 博物館共通券あり |
| 公式HP | https://www.toshogu.or.jp/ https://www.toshogu.or.jp/ |
| アクセス |
JR静岡駅からしずてつジャストライン「日本平ロープウェイ」行き乗車 日本平駅からロープウェイで約5分 または久能山下から石段1,159段を徒歩で参拝 |
| 御朱印 | あり |
巡礼記録
2015年
